感動した治療book

2008年12月17日(Wed) 婦人科疾患を考える PART 3. 子宮内膜症

平成19年1月から12月までの1年間に新たに当院へ来院された患者様の性別構成比をみると、
女性76%・男性24%と圧倒的に女性患者様の占める割合が高い。
そこで、今回は婦人科疾患の中でテーマを3つ(卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症)に絞りお話させて頂きます。
ある生命保険会社の入院給付金支払い実績では、女性は1位がん、2位自然早流産、3位腫瘍、4位子宮筋腫と
女性の入院原因上位15のうち8種類が女性特有の病気となっているそうです。
現代は、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患を抱える人が増えつつあると言われています。
ここでは、簡単に症例を交え卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症についてお話いたします。
「子宮内膜症」
 本来あるべきでない位置に子宮内膜が増殖し、月経と同様に剥離・出血を繰り返す病態です。自覚症状としては、
激しい月経痛、下腹部痛、経血の増加等が挙げられます。子宮筋腫もまた不妊を招きやすいとも言われています。
「子宮内膜症」の患者様の症例 (20代 女性)
 子宮内膜症の為に月のうち3週間は何らかの症状があり、仕事も休みがちであった。治療を繰り返す毎に症状が軽減し、
治療開始から半年後には体調も良好となられ、元気に海外留学へと出発されました。帰国した折には、当院へ元気な顔を見せに訪れて下さいます。
まず、中医学では卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症をどのように捉えているのか?
中医学には「異病(いびょう)同治(どうち)」、「同病(どうびょう)異治(いち)」という言葉があります。
「異病同治」とは、異なる症状でも証(中医学的診断)をみるので、一つの処方で異なる症状を同時に治す事ができます。
「同病異治」とは、頭痛や肩こり等同じ症状でも、タイプが違えば患者によって違う処方をだす、という考え方があります。
西洋医学でいう「卵巣嚢腫」「子宮筋腫」「子宮内膜症」は、中医学では「お血」が原因となってできると考えられています。
「お血」を分かりやすく説明すると、身体の中の血が滞っている状態を言います。
今回テーマとする卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症の婦人科疾患を、中医学弁証論治により、タイプ別に下記6タイプに分類し、
「お血」を治療していきます。この「お血」を治療していくとは、どういう事なのかを簡単に説明させて頂きます。
当院では、各々のタイプ別に中医弁証配穴により全身の血の流れを調整し、子宮や卵巣、下垂体における血がスムーズになるよう調整します。
結果、その局部のお血も動き流れが改善され、全身に血が滞る事なく流れるようになるのです。これにより、身体全体のバランスが整い、
自然治癒力を高め自身が持っている本来の力により、お血が形成されにくい体質に改善していくという事です。
中医学ではお血のできるタイプを6つのタイプに分類します。
  1) 気虚タイプ
          症状例 : 疲れやすい。汗が止まりにくい。
  2) 気滞タイプ
          症状例 : イライラしやすい。胸、脇、腹部に張り感がある。
  3) 血虚タイプ
          症状例 : めまい。動悸がする。こむら返りをすることがある。
  4) 血寒タイプ
          症状例 : 手足が痛む(暖めると軽減)。寒がりである。
  5) 血熱タイプ
          症状例 : できものができやすい。身体が熱い、ほてる。
  6) 痰湿タイプ
          症状例 : 身体が重だるくむくみやすい。食後よく胃もたれする。
 卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症とそれぞれ病名は異なるが、タイプ別に分類し治療していくという観点からみれば、
中医学でいうところの「異病同治」と捉えることができます。
また、別の観点からみれば、女性患者様の随伴症状として疲れやすい、手足が冷える、便秘の訴えが多い等
同じ病名であっても、それぞれタイプが違えば治療が異なってきます。これを「同病異治」と捉えます。
当院では、中医学弁証論治によりその方の病態の原因を探り、個々に即した治療レシピを作成し、治療してまいります。
院長はじめ、スタッフも全て女性ですので、気軽に安心して貴女の症状についてのお悩みをお話下さい。