平成28年度 全日本鍼灸学会学術大会、今年も発表してきました。
テーマは「鍼灸治療による不眠治療の検討4」です。担当は西山です。
鍼灸治療が「不眠症状」に対して効果があるのか否かを、※アテネ不眠問診票と当院自作不眠問診票を用いて効果検討をさせて頂きました。対象者は、薬の影響で不眠症状が出ているなどを排除する為、原因がアトピーによる者や薬の副作用による者は、調査対象から除き、アテネ不眠問診票合計数値が4点以上(不眠予備軍を含む)の者を、虚証38名(虚証とは本来、身体にあったものが失われた状態をいいます)と実証26名(実証とは身体に余分なもの(邪)があることを言います)に分けて、合計64名を対象とし比較検討をしました。
※アテネ不眠尺度(AIS)とは、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法です。
<画像2・3枚目参照>
当院調べとなりますが、来院時の第一主訴は、整形47% 美容24% 内科6%など「不眠症状」を訴える患者様はいませんでした。
<画像11枚目参照>
初診の治療から1か月後の鍼灸の治療効果はどうでしょうか。
アテネ不眠問診票(アテネ不眠尺度(AIS) は、虚証・実証共に全ての項目が改善していることが分かりました。自作不眠問診票においても、虚証は全ての項目が改善しており、実証においても「動悸」以外の全ての項目が改善していることがわかりました。
<画像12〜19枚目参照>
不眠症状を訴える患者は、「肩こり」「目の疲れ」「疲れやすい」などの随伴症状と密接に関係していることが多いため、当院では、個々の体質を中医弁証論治における「異病同治」の考え方で治療をさせて頂いています。「異病同治」とは異なる病や症状に対して、一つの治療方法で異なった症状(例えば不眠症状など)を改善します。つまり、個々の体質に合った中医弁証治療をすることで、いくつかの異なる症状を同時に改善できます。即ち、不眠症状を改善すると、「肩こり」「目の疲れ」「疲れやすい」なども同時に治療ができます。
今回、改善のみられない項目については、調査期間の短さや、対象人数の少なさが原因であるとも考えられますので、今後はさらに対象人数を増やし、鍼灸治療の効果を調査していきたいと思います。
<画像20・21枚目参照>