平成19年1月から12月までの1年間に新たに当院へ来院された患者様の性別構成比をみると、
女性76%・男性24%と圧倒的に女性患者様の占める割合が高い。
そこで、今回は婦人科疾患の中でテーマを3つ(卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症)に絞り
お話させて頂きます。
ある生命保険会社の入院給付金支払い実績では、女性は1位がん、2位自然早流産、3位腫瘍、
4位子宮筋腫と女性の入院原因上位15のうち8種類が女性特有の病気となっているそうです。
現代は、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患を抱える人が増えつつあると言われています。
ここでは、簡単に症例を交え卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症についてお話いたします。
「卵巣嚢腫」
卵巣は卵子を育て排卵し、女性の身体を支配する女性ホルモンを分泌し続けるという複雑な
働きをしています。卵巣は身体の中で最も腫瘍ができやすい器官と言われています。
卵巣嚢腫の9割は良性と言われていますが、中には悪性化するものもあります。
初期の段階では、ほとんど自覚症状がなく、嚢胞が大きくなるにつれ、頻尿、便秘、腹痛、腰痛
などの症状が現れます。
「卵巣嚢腫」の患者様の症例 (30代 女性)
約10年前、腹部に激痛を感じ婦人科を受診。その際卵巣嚢腫と診断され、
ホルモン剤、漢方薬を服用される。
腫瘍については悪化はしないが、現状維持のまま過ごしておられた。
少しでも改善したいと当院を来院。
週1回のペースで治療を開始。治療の度、「気になっていた足先の冷えが消え、顔色も明るくなってきた。」
と言われる。
治療開始後1年を経過した頃、婦人科を受診された際「卵巣嚢腫が小さくなり、良くなってきている。」
と医師より告げられる。
この患者様は現在も週1回のペースで治療を行い、今では一番の悩みであった卵巣嚢腫も良好になり、
肩こりや冷えも改善されています。また同時にお肌も一段と明るくなり非常に満足いただけております。
まず、中医学では卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症をどのように捉えているのか?
中医学には「異病(いびょう)同治(どうち)」、「同病(どうびょう)異治(いち)」という言葉があります。
「異病同治」とは、異なる症状でも証(中医学的診断)をみるので、一つの処方で異なる症状を
同時に治す事ができます。
「同病異治」とは、頭痛や肩こり等同じ症状でも、タイプが違えば患者によって違う処方をだす、
という考え方があります。
西洋医学でいう「卵巣嚢腫」「子宮筋腫」「子宮内膜症」は、中医学では「お血」が原因となってできる
と考えられています。
「お血」を分かりやすく説明すると、身体の中の血が滞っている状態を言います。
今回テーマとする卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症の婦人科疾患を、中医学弁証論治により、
タイプ別に下記6タイプに分類し、「お血」を治療していきます。この「お血」を治療していくとは、
どういう事なのかを簡単に説明させて頂きます。
当院では、各々のタイプ別に中医弁証配穴により全身の血の流れを調整し、子宮や卵巣、
下垂体における血がスムーズになるよう調整します。
結果、その局部のお;血も動き流れが改善され、全身に血が滞る事なく流れるようになるのです。
これにより、身体全体のバランスが整い、自然治癒力を高め自身が持っている本来の力により、
お血が形成されにくい体質に改善していくという事です。
中医学ではお血のできるタイプを6つのタイプに分類します。
1) 気虚タイプ
症状例 : 疲れやすい。汗が止まりにくい。
2) 気滞タイプ
症状例 : イライラしやすい。胸、脇、腹部に張り感がある。
3) 血虚タイプ
症状例 : めまい。動悸がする。こむら返りをすることがある。
4) 血寒タイプ
症状例 : 手足が痛む(暖めると軽減)。寒がりである。
5) 血熱タイプ
症状例 : できものができやすい。身体が熱い、ほてる。
6) 痰湿タイプ
症状例 : 身体が重だるくむくみやすい。食後よく胃もたれする。
卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症とそれぞれ病名は異なるが、タイプ別に分類し
治療していくという観点からみれば、中医学でいうところの「異病同治」と捉えることができます。
また、別の観点からみれば、女性患者様の随伴症状として疲れやすい、手足が冷える、
便秘の訴えが多い等同じ病名であっても、それぞれタイプが違えば治療が異なってきます。
これを「同病異治」と捉えます。
当院では、中医学弁証論治によりその方の病態の原因を探り、個々に即した治療レシピを作成し、
治療してまいります。
院長はじめ、スタッフも全て女性ですので、気軽に安心して貴女の症状についてのお悩みをお話下さい。